**********
格闘技の現実
画面のなかで、カツオと烈の闘いがつづく。
ここからは烈の一方的なペースだった。
烈がボディフックの連打から左アッパーを返し、カツオをダウンさせる。
なんとか立ちあがったカツオは、逆転をねらいロープ・ア・ドープ作戦にでる。
だが、この作戦は読まれていた。烈は力をセーブしたショートパンチで、カツオの体力をそぎ落とす戦法にでる。
第3ラウンド、カツオは賭(か)けにでた。
強打者の烈に打ち合いをいどむ。
わずかではあるが、このほうがまだ逆転の可能性があるのだ。
壮絶(そうぜつ)な打ち合い――
しかし、打ち合いではやはり烈のほうに分(ぶ)があった。
左フックでカツオをぐらつかせると、強烈なフックの3連打でたたみかけた。
くずれ落ちそうになるカツオを月尾会長が正面から抱きとめ、テクニカル・ノックアウトでスパーリングが終了した。
リングに寝かせたカツオを、滝本トレーナーと月尾会長が介抱(かいほう)している姿をしばらく映(うつ)したところで、映像は終了した。