ラベル 23 スピードでパワーファイターに勝つ 第三章 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2019年1月5日土曜日

映像を観ながら解説を聞く、という練習法(4)

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『ステップ7』の指示をだしてからは、烈の一方的なペースになった。
 サークリングを封じ、相手をコーナーに追い詰め、重いショートパンチを放つ。

 2ラウンド目には、左アッパーでダウンを奪った。
 ロープ・ア・ドープ作戦で逆転をもくろむ相手に、力をセーブしたパンチを浴びせ、相手の体力を少しずつそぎ落としていく。

2019年1月4日金曜日

映像を観ながら解説を聞く、という練習法(3)

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 画面のなかでスパーリングが進行していく。

 烈が構え方をクロス・アームブロックに変え、どよめきが起こった。
 烈が構え方を変えたことによって、カツオのパンチが当たらなくなる。

2019年1月3日木曜日

映像を観ながら解説を聞く、という練習法(2)

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「烈、いいところに気づいたな――」
 片倉は、烈の疑問について解説する。
「彼はパンチを放つとき、瞬発力を抑(おさ)えた打ち方をしている。つまり、疲れないように力をセーブして打ってるんだ」

「あれで瞬発力を抑えているのか? 対戦しているときはものすごく速く感じた。
 見えてはいたよ、動きだす瞬間はちゃんと見えていた。だが、『きた』と思った瞬間にはもうパンチが当たっていた。
 見えてはいたのに、反応ができなかったんだ」

2019年1月2日水曜日

映像を観ながら解説を聞く、という練習法(1)

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映像を観ながら解説を聞く、という練習法



 エムビージムの入口のかたわらに、モニターが設置されている。
 ふだんはボクササイズをおこなっている様子や、烈の過去2試合の映像を流している。ジムの前を通りかかるフィットネス会員の興味をひき、入門者を増やすのが目的だ。

2019年1月1日火曜日

マスボクシング、スパーリング(3)

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 烈は順調に上達した。
 プロになり、2戦して、2戦ともノックアウトで勝った。

 だが、片倉はひとつ気がかりなことがあった。
 速いアウトボクサーと闘う練習ができないということだ。

 アウトボクサーを攻略する方法を、烈にはすでに教えてある。
 だがそれは、あくまでも知識だけだった。

2018年12月31日月曜日

2018年12月29日土曜日

マスボクシング、スパーリング(1)

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マスボクシング、スパーリング



 片倉は、全身全霊で烈の指導にあたった。
 だが、ひとつ大きな問題があった。
 烈のスパーリングだ。
 ボクシングジムでありながら、本格的にボクシングをやっている者は烈のほかにはいない。このような有り様であるから、スパーリングの相手がいないのだ。

2018年12月28日金曜日

ファイター・タイプ向きの逸材

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ファイター・タイプ向きの逸材



 エムビージムは、エムビー・フィットネスクラブの建物のなかに設置されている。
 フィットネス会員にアンケートをとったところ、
「ボクササイズに興味がある」
「ボクサーのような細マッチョになれるトレーニングがしたい」
 という要望が複数よせられたため、オーナーが施設内にボクシングジムの設置を決意したのだ。

 そして、3階にある第2エアロビクススタジオを改装し、エムビーボクシングジムが誕生した。

2018年12月27日木曜日

体が小さいからこそ、世界一も夢じゃない(2)

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 烈は、くやしくて、はらわたが煮えくり返るような思いだった。
 体が小さい――その一点で夢を打ちくだかれた。
 考えただけで身震いするほどの怒りが込みあげてくる。
 だが、怒りをぶつける場所などない。
 烈は苦悩の日々をすごした。

2018年12月26日水曜日

体が小さいからこそ、世界一も夢じゃない(1)

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第三章




体が小さいからこそ、世界一も夢じゃない



 大賀烈(おおが れつ)――
 プロボクサー。
 18歳。


 身長156センチ、階級はミニマム級。

 子供のころの夢は、プロ野球選手になり、メジャーリーグで活躍することだった。