ラベル 25 スピードでパワーファイターに勝つ 第五章 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2019年2月18日月曜日

再戦の頃合い(3)

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 烈は15ラウンドの練習を終え、クールダウンのストレッチをしている。
 片倉会長は烈のもとへ行き、言った。
「烈、たったいま月尾ジムのマネージャーから電話があった。また田中(たなか)くんとスパーをやらないかという申し出だった」

2019年2月17日日曜日

再戦の頃合い(2)

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 カツオが変則パンチの練習をはじめてから、1週間が経(た)った。
 ミットをもつ滝本トレーナーが、今日も威勢のいい声をはりあげている。
「よし、ナイスパンチ!」
「いいぞ、カツオ! いまの感じだ!」

 滝本トレーナーの言葉は、肯定的なものばかりだった。
 それだけカツオの動きがよくなったということだ。
 ミット打ちの効果だろう、カツオは意外とはやくコツをつかんでいた。見たかぎりでは、すでに実戦で使えるレベルまで上達している。

2019年2月15日金曜日

再戦の頃合い(1)

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再戦の頃合い



「なんだ、あのパンチは!?」

 練習生たちが、ざわついていた。

 カツオがリングのなかでシャドーボクシングをやっている。
 フットワークを使いながらジャブやワンツーを放つという、いつもどおりの動きから、とつぜん変則的なパンチをくりだす。
 そのたびに練習生たちは驚きの声をあげていた。

2019年2月14日木曜日

ピースがひとつに

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ピースがひとつに



 カツオは眠れない夜をすごしていた。

 帰宅してから大賀烈に勝つ方法をいろいろと考えた。
 アウトボクサーがパワーファイターに勝った試合の映像をいくつか観(み)て『答え』につながるようなヒントをさがした。
 しかし何も得ることはできなかった。

 今日はこれぐらいにしてもう寝よう――
 そう思って床(とこ)についたのだが、いつまで経(た)っても眠れない。

2019年2月13日水曜日

踏み込むスピードを、パンチ力に変える(4)

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「そうなんだ。練習を重ねていくうちに、この闘い方はオレのご都合(つごう)主義で成り立ってるって気づいたんだ。
 そもそもボディ狙いでいくという発想そのものが無謀(むぼう)だったんだよ。あんなふうにボディをがら空(あ)きにして構えるということは、ボディのタフネスに絶対的な自信があるってことなんだ。そんな相手にボディを打ちにいくなんて、みずから罠(わな)にかかりにいくようなもんだよ」

2019年2月12日火曜日

2019年2月11日月曜日

踏み込むスピードを、パンチ力に変える(2)

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 カツオは言う。
「この闘い方は、クロス・アームブロックの弱点につけこむ方法なんだ」

「クロス・アームブロックの弱点、ですか?」

2019年2月8日金曜日

踏み込むスピードを、パンチ力に変える(1)

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踏み込むスピードを、パンチ力に変える



 翌日――
 カツオは『もうひとつの攻略案』を試すため、俊矢とマスボクシングをおこなった。

2019年2月7日木曜日

スピードで、攻撃を防御に変える(5)

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 カツオは連日、シャドーボクシングも、サンドバッグ打ちも、連打の練習をメインにおこなった。
 コツをつかんだらしく、回転のスピードはかなりあがった。

2019年2月6日水曜日

スピードで、攻撃を防御に変える(4)

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 カツオは、息を整えてから、言った。
「この戦術は、シュガー・レイ・レナードがマービン・ハグラーと対戦したときの闘い方を参考にしたんだ」

2019年2月5日火曜日

スピードで、攻撃を防御に変える(3)

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 ラウンド開始のブザーが鳴った。

 カツオは速いフットワークを使って俊矢の周囲をサークリングする。
 左まわりで移動しながら、左ジャブを放つ。スパーリングのときよりも力を抑(おさ)えたかるいパンチ――
 俊矢の固いクロス・アームブロックに当たってはじき返された。

 フットワークを使いながら、ジャブを2発、3発と重ねる。
 いずれも俊矢のX字型のブロックにはばまれ、ヒットしない。

2019年2月4日月曜日

スピードで、攻撃を防御に変える(2)

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 カツオと俊矢はかるくグローブを合わせ、リングのほぼ中央で対峙(たいじ)した。

 俊矢がクロス・アームブロックの構えをとった。
 向かい合うと、そびえ立つかのような威圧感がある。
 それはそうだろう、俊矢とは六階級もちがうのだ。
 だからこそ練習になる。大賀烈を攻略するには、このプレッシャーで迫(せま)りくる相手に対応できなければならないのだ。

2019年2月3日日曜日

スピードで、攻撃を防御に変える(1)

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スピードで、攻撃を防御に変える



 カツオと俊矢は、マスボクシングの準備を整えた。
 スパーリングのときとおなじように、ヘッドギアとノーファールカップを着用し、マウスピースをはめる。

 グローブは、マジックテープで簡単に脱着ができるものを使用。もちろん試合用のグローブよりも大きい。
 マスボクシングはかるい打撃でおこなうとはいえ、練習では怪我をしないように細心の注意を払わなければならないのだ。

2019年2月2日土曜日

練習する環境は整った

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第五章




練習する環境は整った



 休養期間を終えて、カツオはジムワークを再開した。

「滝本さん、お願いがあります」
 1週間ぶりにジムにやってきたカツオは、滝本(たきもと)トレーナーに会うなり言った。
「しばらくのあいだ、オレが考えたトレーニング・メニューで練習がしたいのですが、かまわないでしょうか?」

「ほう……どうしてだ?」
 滝本トレーナーはカツオの思惑(おもわく)をあらかた察していたが、あえて問い返してみた。