ラベル 12 「構え」とはなんだ? 巻末 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 12 「構え」とはなんだ? 巻末 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年9月15日土曜日

参考資料 (「構え」とはなんだ?)

**********


 参考資料



 本作『「構え」とはなんだ?』の執筆に際しまして、下記の書籍を参照いたしました。

『TAO 老子の道(上)』
 OSHO=著(講話) スワミ・プレム・プラブッダ=訳  めるくまーる(1995年)
※「第三話 極端にご用心」を、作中で滝本トレーナーが説いている『中立の理論』の参考にさせていただきました。

2018年9月14日金曜日

ワイド・ガード(山木俊矢の構え方) 〈巻末付録 ボクシングの構え方〉

**********


ガード(腕の構え方)④



ワイド・ガード(山木俊矢の構え方)


 実演:山木俊矢



 ワイルド(野性的)に強打をふるうボクサーに見られる構え方です。

 拳(こぶし)を、顎(あご)の高さまであげます。
 特に、右の拳(後ろ側の拳)は、顎の側面からはなさないようにします。
 アグレッシブ(積極的)に先手をとるようにして攻めこんでいくボクサーにとって、もっとも狙われやすいカウンターが、懐(ふところ)に引きいれてからの左フックだからです。

 拳を外側にひらくようにして(掌の側が正面に向くようにして)構えると、構えが大きく見えるため,相手にプレッシャーを与える構え方になります。

 作中で、山木俊矢(やまき としや)がこの構え方をしています。
『石の拳』と呼ばれたパナマの英雄、ロベルト・デュランを模範にしています。

 この構え方のデメリットは、拳を顔の側面にもってくるため、左右のガードの幅(はば)が広くなることです。
 ガードの内側を狙ったパンチにしっかりと反応できる防御勘(ぼうぎょかん)が必要になります。


 また、このガード(拳を外側にひらいた構え方)は、ストレート・パンチをコークスクリューぎみに捻(ひね)り込むようにして打つボクサーには向いていません。
 構えのときから拳がすでに返っているため、捻りを充分にきかせることができないからです。

 ですが、この構え方には逆のメリットもあります。
 最初から拳が返っているので、パンチを打ちはじめるのと同時にナックルパートがしっかりと相手に向きます。
 ナックルパートで正確に相手をとらえることができるため、パンチが腰くだけすることなく、衝撃をまっすぐ的(まと)に伝えることができるのです。
 ガツンと体の芯(しん)に響くような硬質で重いストレート・パンチを打つボクサーには、最適な構え方だと言えます。


ボクシングの構え方(巻末付録)
スタンス
スタンダード・ガード
デトロイト・スタイル
ピーカブー・スタイル
→ワイド・ガード(山木俊矢の構え方) 当記事

 参考資料

更新
2018年10月15日 文章表現を一部改訂。

2018年9月11日火曜日

ピーカブー・スタイル 〈巻末付録 ボクシングの構え方〉

**********


ガード(腕の構え方)③



ピーカブー・スタイル


 実演:星乃塚秀輝

正面


 両手を、顎(あご)の正面で合わせるようにして構えます。
 積極的に前にでるファイタータイプ(攻撃型)のボクサーや、身長が低い選手に採用される構え方です。

 これらのボクサーは、対戦相手が「ジャブやストレートで突き放す」、「アッパーを突きあげる」という戦術をとってくるため、顎の正面を重点的に守る必要があるからです。

側面


 顔の側面は無防備な状態ですので、ダッキング(しゃがんでかわす防御)やローリング(頭部をまわすように移動させる防御)を駆使して、相手のフックパンチを空振りさせるテクニックが必要です。


 また、ウィービング(頭を横に小さく振る防御)などで頭の位置を左右に移動させるときは、ガードの位置を変化させます。
 両手をそれぞれ顔の側面へもっていき、顎もしくは頬(ほお)に手を添(そ)えるようにしてガードします。


 頭を横に振ると、頭部の位置が正中線(体の左右を分ける中心のライン)からはずれます。
 ジャブ、ストレート、アッパーなどの正中線上の的(まと)を狙うパンチは的中率がさがるため、脅威(きょうい)が低下します。
 頭を横に移動させるときは、もっとも危険なパンチがフックに変わります。
 それにともない、ガードの位置を顔の側面に移動させます。

 通常の構えのときは、顎の正面で手を合わせる――
 頭を横に振るときは、手を顔の側面につける――

 そのようにガードを変化させることによって、ピーカブー・スタイルはより隙(すき)のない構え方になります。


 ちなみに「ピーカブー(peek a boo)」というのは、「いないいないばぁ」のことです。
 両手で顔を隠す構え方が「いないいないばぁ」の手のかたちに似ているため、「ピーカブー・スタイル」という名称がつけられています。
 ボクシング界の重鎮(じゅうちん)であるジョー小泉氏は、ピーカブー・スタイルのことを「のぞき見スタイル」と訳しています。


ボクシングの構え方(巻末付録)
スタンス
スタンダード・ガード
デトロイト・スタイル
→ピーカブー・スタイル 当記事
ワイド・ガード(山木俊矢の構え方)

 参考資料

更新
2018年10月2日 文章表現を一部改訂。
2018年10月25日 表記揺れを一ヶ所訂正。
2019年6月6日 頭を横に振るときのガードポジションの説明を追加。画像を一枚追加。
2019年6月7日 追加画像を修正。
2019年11月20日 追加画像を改訂。

2018年8月30日木曜日

デトロイト・スタイル 〈巻末付録 ボクシングの構え方〉

**********


ガード(腕の構え方)②



デトロイト・スタイル


 実演:星乃塚秀輝

正面


 前の腕(オーソドックスの場合は左腕)をさげた構え方です。
 後ろ側の拳(オーソドックスの場合は右拳)は、顎(あご)の前、もしくは顎の横にもってきます。

 1970年代から80年代にかけて、アメリカのボクサーのほとんどがこの構え方をしていたため「アメリカン・スタイル」と呼ばれていた時期もあります。
 現在ではデトロイト・スタイル(もしくはヒットマン・スタイル)という名称で定着しています。


 ガードが半分ですので、防御がそれだけむずかしくなります。
 ですが、
「左肩が疲れない」
「左肩がリラックスしている状態からフリッカージャブ(下方から突きあげるように打つジャブ)を強く放てる」
 という利点があるため、テクニシャン・タイプ(技巧派のボクサー)に好まれている構え方です。


 両方のガードをさげずに半分だけ(後ろ側の腕だけ)ガードをあげる理由は、ボクシングの立ち方が半身(はんみ)だからです。

 半身をとって構えた場合、前側(オーソドックスの場合は左側)のほうはガードをさげていてもショルダーブロック(肩でパンチを受けとめる防御)で顎を守ることができます。

 ですが、半身の性質上、後ろ側(右側)のほうは体がひらいているため、肩で顎を守ることができません。
 ガードをさげてしまうと完全な無防備の状態になってしまうので、後ろ側の腕はしっかりとガードをあげて構えます。

側面


 また、逆説的ではありますが、目がいいボクサー(防御反応にすぐれているボクサー)の場合は、前側のガードをさげることによって、より防御が巧みになることがあります

 ガードの高いボクサーは、みずからのガードで死角をつくってしまい、相手のパンチを見えにくくすることがあります。
 特に前側のガードは顔(目)よりも前方にあるため、視界の一部をさえぎってしまいます。

ガードの高いボクサーの構え方

 ですが、デトロイト・スタイルのボクサーは前側のガードをさげているため、ガードによる死角がありません。
 相手の動きがよく見えるため、反応のいいボクサーの場合は、ガードをさげることによって防御の精度がアップすることがあります。

 その利点もまた、デトロイト・スタイルがテクニシャン・タイプに好まれる理由のひとつだと言えます。


ボクシングの構え方(巻末付録)
スタンス
スタンダード・ガード
→デトロイト・スタイル 当記事
ピーカブー・スタイル
ワイド・ガード(山木俊矢の構え方)

 参考資料


更新
2018年9月1日 後ろ側の拳の構え方の説明を一部改訂。
2023年11月19日 ガードの高いボクサーの構え方の画像を追加。

2018年8月28日火曜日

スタンダード・ガード 〈巻末付録 ボクシングの構え方〉

**********


ガード(腕の構え方)①



スタンダード・ガード(一般的なガード)


 実演:霧山一拳

正面


 拳(こぶし)の位置を、顎(あご)から目の高さにもってきます。
 両腕のガードを高くあげた構え方です。

 攻めやすく、守りやすい構え方であり、ほとんどのボクサーがこのガード・ポジションを採用しています。
 作中の霧山一拳もこの構え方です。

側面


 ガードを高くあげているため肩に力がはいりやすく、力(りき)みや疲労の原因になるという欠点があります。
 ガードを高くあげた姿勢のまま肩をやわらかくリラックスさせることが、この構え方の命題と言えます。


ボクシングの構え方(巻末付録)
スタンス
→スタンダード・ガード 当記事
デトロイト・スタイル
ピーカブー・スタイル
ワイド・ガード(山木俊矢の構え方)

 参考資料

2018年8月24日金曜日

スタンス(立ち方) 〈巻末付録 ボクシングの構え方〉

**********

〈巻末付録〉 ボクシングの構え方


この巻末付録は、『「構え」とはなんだ?』を電子書籍として配信したときに掲載した巻末付録を改訂したものです。


スタンス(立ち方)



スタンダード(一般的な立ち方)


 実演:田中勝男

 半身(はんみ)をとり、相手に対して横を向くような体勢で立ちます。
 右利きの人は、右半身(みぎ・はんしん)を後ろにして立ちます。
 オーソドックス・スタイルと言います。

正面


 左利きの人は、左半身(ひだり・はんしん)が後ろ側にくるようにして立ちます。
 サウスポー・スタイルと言います。


 素早いフットワークができるように、重心を高めにして、アップライト(直立)で構えるのが一般的です。

側面


 ボクサーは、ステップワーク(移動の足さばき)や、パンチを打つときのシフト・ウエイト(体重移動)を、つま先で床を蹴る力を使っておこないます。
 そのため、つま先のキックがスムーズにおこなえるように、後ろ足の踵(かかと)を少し浮かして構える選手が多いです。



低重心スタンス(霧山一拳の立ち方)


 実演:霧山一拳

 作中の霧山一拳(きりやま いっけん)は、腰を少し落として構えています。

正面


 腰を落として構えると、強いパンチが打ちやすくなります。
 重心が低くなることで、体の土台が安定するからです。
 腰を落とすことを『強打法』として指導しているトレーナーもいます。

側面


 ですが、この姿勢から素早く移動するのは容易ではありません。
 また、膝を曲げた状態を維持しているため、太腿(ふともも)の筋肉が疲労しやすくなります。
 霧山一拳は、空手でつちかった足腰があるからこそ、このスタンスでのボクシングを可能にしています。


ボクシングの構え方(巻末付録)
→スタンス 当記事
スタンダード・ガード
デトロイト・スタイル
ピーカブー・スタイル
ワイド・ガード(山木俊矢の構え方)

 参考資料

更新
2018年10月23日 画像を1枚改訂。