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ガード(腕の構え方)④
ワイド・ガード(山木俊矢の構え方)
実演:山木俊矢
ワイルド(野性的)に強打をふるうボクサーに見られる構え方です。
拳(こぶし)を、顎(あご)の高さまであげます。
特に、右の拳(後ろ側の拳)は、顎の側面からはなさないようにします。
アグレッシブ(積極的)に先手をとるようにして攻めこんでいくボクサーにとって、もっとも狙われやすいカウンターが、懐(ふところ)に引きいれてからの左フックだからです。
拳を外側にひらくようにして(掌の側が正面に向くようにして)構えると、構えが大きく見えるため,相手にプレッシャーを与える構え方になります。
作中で、山木俊矢(やまき としや)がこの構え方をしています。
『石の拳』と呼ばれたパナマの英雄、ロベルト・デュランを模範にしています。
この構え方のデメリットは、拳を顔の側面にもってくるため、左右のガードの幅(はば)が広くなることです。
ガードの内側を狙ったパンチにしっかりと反応できる防御勘(ぼうぎょかん)が必要になります。
また、このガード(拳を外側にひらいた構え方)は、ストレート・パンチをコークスクリューぎみに捻(ひね)り込むようにして打つボクサーには向いていません。
構えのときから拳がすでに返っているため、捻りを充分にきかせることができないからです。
ですが、この構え方には逆のメリットもあります。
最初から拳が返っているので、パンチを打ちはじめるのと同時にナックルパートがしっかりと相手に向きます。
ナックルパートで正確に相手をとらえることができるため、パンチが腰くだけすることなく、衝撃をまっすぐ的(まと)に伝えることができるのです。
ガツンと体の芯(しん)に響くような硬質で重いストレート・パンチを打つボクサーには、最適な構え方だと言えます。
ボクシングの構え方(巻末付録)
→スタンス
→スタンダード・ガード
→デトロイト・スタイル
→ピーカブー・スタイル
→ワイド・ガード(山木俊矢の構え方) 当記事
参考資料
更新
2018年10月15日 文章表現を一部改訂。