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ガード(腕の構え方)③
ピーカブー・スタイル
実演:星乃塚秀輝
正面
両手を、顎(あご)の正面で合わせるようにして構えます。
積極的に前にでるファイタータイプ(攻撃型)のボクサーや、身長が低い選手に採用される構え方です。
これらのボクサーは、対戦相手が「ジャブやストレートで突き放す」、「アッパーを突きあげる」という戦術をとってくるため、顎の正面を重点的に守る必要があるからです。
側面
顔の側面は無防備な状態ですので、ダッキング(しゃがんでかわす防御)やローリング(頭部をまわすように移動させる防御)を駆使して、相手のフックパンチを空振りさせるテクニックが必要です。
また、ウィービング(頭を横に小さく振る防御)などで頭の位置を左右に移動させるときは、ガードの位置を変化させます。
両手をそれぞれ顔の側面へもっていき、顎もしくは頬(ほお)に手を添(そ)えるようにしてガードします。
頭を横に振ると、頭部の位置が正中線(体の左右を分ける中心のライン)からはずれます。
ジャブ、ストレート、アッパーなどの正中線上の的(まと)を狙うパンチは的中率がさがるため、脅威(きょうい)が低下します。
頭を横に移動させるときは、もっとも危険なパンチがフックに変わります。
それにともない、ガードの位置を顔の側面に移動させます。
通常の構えのときは、顎の正面で手を合わせる――
頭を横に振るときは、手を顔の側面につける――
そのようにガードを変化させることによって、ピーカブー・スタイルはより隙(すき)のない構え方になります。
ちなみに「ピーカブー(peek a boo)」というのは、「いないいないばぁ」のことです。
両手で顔を隠す構え方が「いないいないばぁ」の手のかたちに似ているため、「ピーカブー・スタイル」という名称がつけられています。
ボクシング界の重鎮(じゅうちん)であるジョー小泉氏は、ピーカブー・スタイルのことを「のぞき見スタイル」と訳しています。
ボクシングの構え方(巻末付録)
→スタンス
→スタンダード・ガード
→デトロイト・スタイル
→ピーカブー・スタイル 当記事
→ワイド・ガード(山木俊矢の構え方)
参考資料
更新
2018年10月2日 文章表現を一部改訂。
2018年10月25日 表記揺れを一ヶ所訂正。
2019年6月6日 頭を横に振るときのガードポジションの説明を追加。画像を一枚追加。
2019年6月7日 追加画像を修正。
2019年11月20日 追加画像を改訂。