2018年9月11日火曜日

ピーカブー・スタイル 〈巻末付録 ボクシングの構え方〉

**********


ガード(腕の構え方)③



ピーカブー・スタイル


 実演:星乃塚秀輝

正面


 両手を、顎(あご)の正面で合わせるようにして構えます。
 積極的に前にでるファイタータイプ(攻撃型)のボクサーや、身長が低い選手に採用される構え方です。

 これらのボクサーは、対戦相手が「ジャブやストレートで突き放す」、「アッパーを突きあげる」という戦術をとってくるため、顎の正面を重点的に守る必要があるからです。

側面


 顔の側面は無防備な状態ですので、ダッキング(しゃがんでかわす防御)やローリング(頭部をまわすように移動させる防御)を駆使して、相手のフックパンチを空振りさせるテクニックが必要です。


 また、ウィービング(頭を横に小さく振る防御)などで頭の位置を左右に移動させるときは、ガードの位置を変化させます。
 両手をそれぞれ顔の側面へもっていき、顎もしくは頬(ほお)に手を添(そ)えるようにしてガードします。


 頭を横に振ると、頭部の位置が正中線(体の左右を分ける中心のライン)からはずれます。
 ジャブ、ストレート、アッパーなどの正中線上の的(まと)を狙うパンチは的中率がさがるため、脅威(きょうい)が低下します。
 頭を横に移動させるときは、もっとも危険なパンチがフックに変わります。
 それにともない、ガードの位置を顔の側面に移動させます。

 通常の構えのときは、顎の正面で手を合わせる――
 頭を横に振るときは、手を顔の側面につける――

 そのようにガードを変化させることによって、ピーカブー・スタイルはより隙(すき)のない構え方になります。


 ちなみに「ピーカブー(peek a boo)」というのは、「いないいないばぁ」のことです。
 両手で顔を隠す構え方が「いないいないばぁ」の手のかたちに似ているため、「ピーカブー・スタイル」という名称がつけられています。
 ボクシング界の重鎮(じゅうちん)であるジョー小泉氏は、ピーカブー・スタイルのことを「のぞき見スタイル」と訳しています。


ボクシングの構え方(巻末付録)
スタンス
スタンダード・ガード
デトロイト・スタイル
→ピーカブー・スタイル 当記事
ワイド・ガード(山木俊矢の構え方)

 参考資料

更新
2018年10月2日 文章表現を一部改訂。
2018年10月25日 表記揺れを一ヶ所訂正。
2019年6月6日 頭を横に振るときのガードポジションの説明を追加。画像を一枚追加。
2019年6月7日 追加画像を修正。
2019年11月20日 追加画像を改訂。