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ガード(腕の構え方)②
デトロイト・スタイル
実演:星乃塚秀輝
正面
前の腕(オーソドックスの場合は左腕)をさげた構え方です。
後ろ側の拳(オーソドックスの場合は右拳)は、顎(あご)の前、もしくは顎の横にもってきます。
後ろ側の拳(オーソドックスの場合は右拳)は、顎(あご)の前、もしくは顎の横にもってきます。
1970年代から80年代にかけて、アメリカのボクサーのほとんどがこの構え方をしていたため「アメリカン・スタイル」と呼ばれていた時期もあります。
現在ではデトロイト・スタイル(もしくはヒットマン・スタイル)という名称で定着しています。
ガードが半分ですので、防御がそれだけむずかしくなります。
ですが、
「左肩が疲れない」
「左肩がリラックスしている状態からフリッカージャブ(下方から突きあげるように打つジャブ)を強く放てる」
という利点があるため、テクニシャン・タイプ(技巧派のボクサー)に好まれている構え方です。
両方のガードをさげずに半分だけ(後ろ側の腕だけ)ガードをあげる理由は、ボクシングの立ち方が半身(はんみ)だからです。
半身をとって構えた場合、前側(オーソドックスの場合は左側)のほうはガードをさげていてもショルダーブロック(肩でパンチを受けとめる防御)で顎を守ることができます。
ですが、半身の性質上、後ろ側(右側)のほうは体がひらいているため、肩で顎を守ることができません。
ガードをさげてしまうと完全な無防備の状態になってしまうので、後ろ側の腕はしっかりとガードをあげて構えます。
側面
また、逆説的ではありますが、目がいいボクサー(防御反応にすぐれているボクサー)の場合は、前側のガードをさげることによって、より防御が巧みになることがあります。
ガードの高いボクサーは、みずからのガードで死角をつくってしまい、相手のパンチを見えにくくすることがあります。
特に前側のガードは顔(目)よりも前方にあるため、視界の一部をさえぎってしまいます。
ですが、デトロイト・スタイルのボクサーは前側のガードをさげているため、ガードによる死角がありません。
相手の動きがよく見えるため、反応のいいボクサーの場合は、ガードをさげることによって防御の精度がアップすることがあります。
その利点もまた、デトロイト・スタイルがテクニシャン・タイプに好まれる理由のひとつだと言えます。
ボクシングの構え方(巻末付録)
→スタンス
→スタンダード・ガード
→デトロイト・スタイル 当記事
→ピーカブー・スタイル
→ワイド・ガード(山木俊矢の構え方)
参考資料
更新
2018年9月1日 後ろ側の拳の構え方の説明を一部改訂。
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