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俊矢はビデオカメラを手に、リングのそばに立った。
カツオと大賀烈はすでにリングにあがっており、カツオは青コーナー側、烈は赤コーナー側で待機している。
ボクシングでは格上の選手が赤コーナー側につくのが一般的で、今回のスパーリングもその慣習にしたがっていた。
対戦する両者のほかにもうひとり、月尾会長がリングにはいっている。レフェリーをするためだ。
通常のスパーリングであればレフェリーはいないのだが、今回は試合形式でおこなうため、月尾会長がその役目を担当する。
カツオのいる青コーナーには滝本トレーナーが、大賀烈の赤コーナーにはエムビージムの片倉会長が、それぞれセコンドについている。