2019年2月17日日曜日

再戦の頃合い(2)

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 カツオが変則パンチの練習をはじめてから、1週間が経(た)った。
 ミットをもつ滝本トレーナーが、今日も威勢のいい声をはりあげている。
「よし、ナイスパンチ!」
「いいぞ、カツオ! いまの感じだ!」

 滝本トレーナーの言葉は、肯定的なものばかりだった。
 それだけカツオの動きがよくなったということだ。
 ミット打ちの効果だろう、カツオは意外とはやくコツをつかんでいた。見たかぎりでは、すでに実戦で使えるレベルまで上達している。

 神保マネージャーは、右手の中指で眼鏡のずれを直し、口もとに笑みを浮かべた。
「そろそろ、いい頃合(ころあ)いかもしれませんね」

 1分間のインターバルのとき、神保マネージャーはカツオと滝本トレーナーのもとへ行き、言った。
「どうでしょう、もう一度、大賀くんとスパーリングをやってみませんか?」

 カツオと滝本トレーナーは驚いた顔をしている。

 滝本トレーナーはカツオに視線を向けた。答えはカツオにまかせるという意思表示だ。

 カツオは、大きな声で答えた。
「はい! ぜひお願いします!」

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