2018年12月19日水曜日

カツオが落ち込んでいると、俺たちまでへこんじまう(3)

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 カツオは、部屋のなかで悶々(もんもん)とした時間をすごしていた。

 外の空気を吸えば少しは気が晴れるかと思ったが、何も変わらなかった。
 それはそうだろう。家にいようが外にいようが、惨敗したという事実は変わらないのだから……。

 カツオは、家のインターフォンが鳴ったのを聞いた。
 特に気にはしなかった。母がでるだろう。

 しばらくして、母の足音が近づいてきた。

 部屋の扉がノックされ、扉の向こうで母が言った。
「カツオ。誠一くんがきてるわよ、須藤(すどう)くんって子と一緒に」

「えっ、誠一くんと賢策(けんさく)くんが!?」

 カツオは驚き、部屋をとびだした。

 玄関に、誠一と、アイドル顔のイケメン男子が立っている。


「誠一くん、賢策くん……こんな時間にどうしたの?」

 カツオの問いに、誠一が答えた。
「なんだかカツオの元気がなかったからな。賢策に電話して、3人で集まろうって提案したんだ」

「誠一くん……」

「何があったのか知らないけど、カツオが落ち込んでいる姿を見ると俺たちまでへこんじまう。だから――」

 そのあとに、元気だせよ、とか、そんなに落ち込むなよ、といった言葉がつづくと思い、カツオはおもわず身構えた。
 いまのカツオにとって、慰(なぐさ)めの言葉はかえってつらい。

 だが、誠一の口からでてきた言葉はちがった。

「だから、カツオと一緒に、俺たちも落ち込むことに決めた」

「えっ……!?」
 カツオは驚き、言葉をうしなった。

 誠一のとなりに立つイケメン男子が言う。
「ひとりで悩んだりするなんて水くさいよね。カツオが落ち込むときは、僕たちも一緒だよ」

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