※今回はボクシングに関するエッセイです
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世の中には、自己愛を「わるいもの」だと思い込んでいる人たちがいます。
彼らは、自己愛を自己中心的な「ナルシスト」と重ね合わせているんですね。
そのため、自己愛をエゴの一種のように感じているのですが……。
世間一般的に「ナルシスト」と言われている人たちは、本当の意味でのナルシストではありません。
ほとんど例外なく、似非(えせ)ナルシストです。
※似非とは、「似ているけど本物ではない(にせもの)」という意味です。
本物の「自信家」とは?
ナルシストというのは、
「自己愛が強く、自信家で、ときにうぬぼれるほどに自己肯定感が強い人」
のことです。
ですが、世間一般で「ナルシスト」と呼ばれている人たちはどうでしょう?
外見をかっこよく見せようとしたり、
自信があるように尊大にふるまったり、
自分を認めさせようと、誘導尋問じみた態度をとったり――
自信があるように尊大にふるまったり、
自分を認めさせようと、誘導尋問じみた態度をとったり――
典型的な「自己否定感にとらわれている人」の行動パターンです。
彼らが心にいだいているのは、『自己愛』ではありません。
心理学で言う「承認欲求(しょうにん・よっきゅう)」です。
自分に自信がないから(自分のことを肯定できないから)、
「人に認めてもらうこと(人に肯定してもらうこと)」
それを過剰に求めて、外見や行動を『自信家』であるかのようにふるまっているんですね。
自信があるボクサーの姿
僕がボクシングをやっていた当時、ジムの先輩や仲間が試合をやるときは、みんなで会場に応援にいきました。
※たいがいは後楽園ホールでしたね。
四回戦や六回戦の試合の場合は、プロボクサーとして知名度がない者同士の対戦になりますので、応援に行っても対戦相手のデータがありません。
対戦相手のことがわからない、というのはかなり不安になります。
そのときも、ジムの先輩の応援に行っていたのですが、対戦相手のことが何もわかっていませんでした。
僕は、ジムの仲間とともに、戦々恐々(せんせんきょうきょう)とした思いでいたのですが……
対戦相手がリングにあがり、その顔を見た瞬間に、
「だいじょうぶだ、勝てる」
僕らは一斉に胸をなでおろしました。
対戦相手の顔が、ものすごくこわかったからです(笑
僕らボクサーは、強面(こわもて)をつくってリングに上がるのは、自信がない心理のあらわれということを、経験によって知っていたんですね。
そして結果は――
僕らの予想どおりです(笑
ジムの先輩(好青年顔)は、強面の対戦相手を一方的に打ちまくり、みごとにノックアウト勝ちをおさめました。
本当に強い人たちの世界では、強そうに見せようとすると、その裏側にある心理を見透かされてしまいますので、かえって逆効果になります(笑
強そうに見えない人のなかに、「本当に強い人」はいる
本当に「強い人」というのは、一見すると強そうには見えません。
本当に「強い人」は、人に認めさせるまでもなく、自分が強いことを知っているからです。
本当に強くて、自信があるファイター(戦士)は、外見や態度を強そうに見せる必要がありません。
そのため、
見た目は一般人と変わらず、
態度は礼儀正しく謙虚(けんきょ)で、
人に優しい
態度は礼儀正しく謙虚(けんきょ)で、
人に優しい
それが、本当に強い人(自分の強さを肯定できている人)です。
本物のナルシスト(自信家)とは
もうおわかりかと思いますが、
本当の意味でのナルシスト
本当に「自信」がある人
そういう人というのは、他人に「自信家」だと認めさせるような外見や態度はとりません。
その必要が、ないからです。
本当の自信家は、みずからの肯定感によってすでに肯定されているため、心が満たされています。
それが、本物の「ナルシスト(自信家)」です。
自己肯定感を養うと「本当の自分」が現れてくる
自己愛(=自己肯定感)を、養いましょう。
もっともっと自分を好きになりましょう。
そして、本当の意味での「自信家」になりましょう。
あなたの自己肯定感(自信)は精神的な余裕を生みだし、謙虚さややさしさをあなたにもたらします。
また、あなたの自己肯定感(自信)によって、あなたは自分が思っている以上の能力を発揮できるようになります。
この通常を超えて発揮される能力こそが、あなたの『潜在能力』です。
あなたの才能は、あなたの自己肯定感(自信)によって開花します。
あなたの才能、あなたの潜在能力が解き放たれた状態――それこそが「本当のあなた」です。
自己愛(=自己肯定感=自信)を養うことによって、あなたは、よりあなたらしく生きることができるようになります。
※このエッセイは、本条克明が以前に運営していた『本条克明ライターズブログ』というサイトに掲載した記事を改訂したものです。
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